品質マニュアルの作成で参考になる,用語及び定義
(1)IATF 16949
IATF16949とは,自動車産業の国際的な品質マネジメントシステム規格を指します。
この規格は,IATF(国際自動車産業特別委員会)が作成したものであり,ISO9001:2015への追加事項としてISO9001:2015と共に利用する必要があります。
(2)アクセサリー部品(aceessory part)
最終顧客への引渡しの事前(又は事後)に,機械的又は電子的に車両又はパワートレーンに結合される,顧客規定の追加構成部品(例 特注フロアマット,トラックベッドライナー,ホイールカバー,音響システム機能強化装置,サンルーフ,スポイラー,スーパーチャージャーなど)。
(3)先行製品品質計画[advanced product quality planning(APQP)]
顧客要求事項を満たす製品又はサービスの開発を支援する,製品品質計画プロセス。APQPは,開発プロセスにおいて手引として活用し,組織と顧客との間で結果を共有化する標準的方法でもある。APQPは,数ある中でも特に,設計の頑健性,設計試験及び仕様への適合,生産工程設計,品質検査規格,工程能力,生産能力,製品の包装,製品試験及び作業者教育訓練計画を網確している。
(4)アフターマーケット部品(aftermarket part)
サービス部品用途としてOEMが調達又はリリースするものではない交換部品で,OEMの仕様どおり製造されてもそうでなくてもよい。
(5)正式許可(authorization)
組織内で,許可を与える若しくは拒否する,又は制裁することに関係する権限及び責任を規定する人に対する,文書化した許可。
(6)チャレンジ(マスター)部品[challeIlge(master)part]
ポカヨケ装置の機能又は点検ジグ(例 通止ゲージ)の妥当性確認に使用する,既知の仕様,校正された及び標準にトレーサブルな,期待された結果(合格又は不合格)をもつ部品。
(7)コントロールプラン(control plan)
製品の製造を管理するために要求される,システム及びプロセスを記述した文書(附属書A参照)
で、このマニュアルにおいては、QC工程表の一部をさす場合もある。
(8)顧客要求事項(customer requirements)
顧客に規定された全ての要求事項(例 技術,商流,製品及び製造工程に関係する要求事項,一般の契約条件,顧客固有要求事項など)。
(9)顧客固有要求事項[customer-specific requirements(CSRs)]
この自動車産業QMS規格の特定の箇条にリンクした解釈又は補足の要求事項。
(10)組立設計[design for assembly (DFA)]
組立容易性を考慮した製品設計のプロセス(例製品がより少ない部品点数から成れば,組立時間を少なくでき,したがって組立コストを削減できる)。
(11)製造設計[design for manufacturing(DFM)]
容易に,かつ,経済的に製造される製品を設計するための製品設計及び工程計画の統合化。
(12)製造及び組立設計[design for manufacturiIlg and assembly(DFMA)]
二つの方法論の組合せ。製造設計(DFM)は,より容易に生産するための設計を最適化するプロセスであり,より高いスループット,改善した品質をもつ。組立設計(DPA)は,不具合のリスクを低減する,コストを下げる及び組立しやすくするための設計の最適化である。
(13)シックスシグマ設計[design for six sigma( DFSS)]
顧客の期待を満たしシックスシグマ品質レベルで生産可能な製品又は工程の頑健な設計を狙いとする,体系的方法論,ツール及び手法。
(14)設計責任のある組織(design responsible organization)
新規の製品仕様を確立する,又は既存の製品仕様を変更する権限をもつ組織。
この責任は,顧客の規定した適用条件の中で,設計性能について試験及び検証することを含む。
(15)ポカヨケ(error proofing)
不適合製品の製造を予防するための,製品及び製造工程の設計・開発。
(16)上申プロセス(escalation process)
組織内のある問題に対して,適切な要員がその状況に対応し,解決策を監視できるよう,その間題を指摘する又は提起するために用いられるプロセス。
(17)故障の木解析[fault tree analysis(FTA)]
システムの望ましくない状態を解析する演繹故障解析の方法論。故障の木解析は,システム全体の論理図を創出することによって,故障,サブシステム及び冗長設計要素との関係を描く。
(18)試験所(laboratory)
化学,金属,寸法,物理,電気又は信頼性の試験を含めてよいが,それに限定されない,検査,試験又は校正の施設。
(19)試験所適用範囲(1aboratory scope)
次の事項を含む管理文書。
・試験所が実行するために適格性確認された,特定の試験,評価及び校正
・上記を実行するために用いる設備のリスト
・上記を実行する方法及び規格のリスト
(20)製造(mamufacturing)
次に示すものを製作する,又は仕上げるプロセス。
・生産材料
・生産部品若しくはサービス部品
・組立製品
・熱処理,溶接,塗装,鍍金,若しくは他の仕上げ作業
(21)製造フィージビリティ(manufacturing feasibility)
製品を,顧客要求事項を満たすように製造することが技術的に実現可能か否かを判定するための,提案されたプロジェクトの分析及び評価。これには,次の事項(該当する場合には,必ず)を含む。しかし,それに限定されない:見積りコスト内で,並びに必要な資源,施設,治工具,生産能力,ソフトウエア及び必要な技能をもつ要員が,支援部門を含めて,提供できるか又は提供できるように計画されているかどうか。
(22)製造サービス(manufacturing services)
構成部品及び組立製品に対して,試験,製嵐 配給及び修理サービス提供を行う会社。
(23)部門横断的アプローチ(multi-disciplinary approach)
メンバーが組織からの要員並びに顧客及び供給者の代表を含めてもよいチームによって,プロセスがどのように管理されるかに影響を及ぼす可能性がある全ての利害関係者からインプットを得る方法。チームメンバーは組織の内部又は外部の要員でもよい。既存のチーム又は事情によっては臨時のチームを使用してもよい,チームへのインプットは組織及び顧客の両方のインプットを含めてもよい。
(24)不具合なし[no trouble found(NTF)
サービス案件が発生したときに交換され,車両又は部品の製造業者によって分析された際に,全ての“良品”の要求事項を満たす部品に適用される呼称[”故障なし(No Fault Found)”又は”不具合発見なし(Trouble Not Pound)”とも呼ばれる。]。
(25)アウトソースしたプロセス(outsourced process)
外部組織によって実行される,組織の機能(又はプロセス)の一部。
(26)定期的オーパ-ホール(periodic overhaul)
重大な予期しない故障を予防するために,故障又は中断の経緯に基づいて,設備の一部,又は設備のサブシステムは事前に操業を中止し,分解し,修理し,部品交換し,再度組み立て,再び操業に戻す,保全の方法論。
(27)予知保全(predictive maintenance)
いつ保全を実行すべきかを予測するために,定期的又は継続的に設備条件を監視することによって,使用している設備の条件を評価する,方法及び一連の手法。
(28)特別輸送費(premium freight)
契約した輸送費に対する割増しの費用又は負担。
注記 これは,輸送方法,量,予定外納入又は納入遅延,などによって発生し得る。
(29)予防保全(preventive maintenance)
製造工程設計のアウトプットとして,設備故障及び予定外の生産中断の原因を除去するために,一定の間隔(時間ベース,定期的検査及びオーバーホール)で計画した活動。
(30)製品(product)
製品実現プロセスの結果として生じる,意図したアウトプット。
(31)製品安全(product safety)
顧客に危害,危険を与えないことを確実にする,製品の設計及び製造に関係する規範。
(32)生産シャットダウン(production shutdown)
製造工程が稼働していない状況。期間は,数時間から数か月でもよい。
(33)対応計画(reactio plan)
異常又は不適合事象が検出された場合に,コントロールプランに規定された処置又は一連のステップ。
(34)遠隔地支援事業所(remote location)
製造サイトを支援する,生産プロセスのない事業所。
(35)サービス部品(service part)
サービス部品としてOEMが調達又はリリースし,OEMの仕様どおり製造される,再生部品を含む交換部品。
(36)サイト(site)
価値を付加する製造工程のある事業所。
(37)特殊特性(special characteristics)
安全若しくは規制への適合,取付け時の合い,機能,性能,要求事項,又は製品の後加工に影響し得る,製品特性又は製造工程パラメータの区分。
(38)特別状態(special status)
著しい品質又は納入問題による一つ以上の顧客要求事項が満たされていない場合に組織に課せられる,顧客が特定した区分の通知。 (39)支援機能(support function)
同じ組織の一つ(又はそれ以上)の製造サイトを支援する,非生産活動(サイト内で又は遠隔地支援事業所で行われる。)。
(40)TPM(total productive maintenance)
生産及び品質システムの完全に整った状態を,組織に価値を付加する,機械,設備,工程及び従業員を通じて,維持し改善するシステム。
(41)トレードオフ曲線(trade-of curves)
製品の様々な設計特性の相互の関係を理解し伝達するためのツール。一つの特性に関する製品の性能を縦軸に描き,もう一つの特性を横軸に措く。それから二つの特性に対する製品性能を示すために曲線がプロットされる。
(42)トレードオフプロセス(trade-of process)
製品及びその性能特性に対して,設計の代替案の間で顧客,技術及び経済的な関係を確立する,トレードオフ曲線を作成し使用する方法論。
(43)マネジメントシステム
当社の運営を統括する管理上・技術上のシステム。
(44)規格の要求事項
IATFの規格に規定された要求事項のこと。
(45)顧 客,依頼先。
(46)校 正
計器又は測定器の示す値、若しくは実量器又は標準物質の表す値と標準によって実現される値の間の関係を確定する一連の作業。(JIS Z 8103)
(47)適合性
要求事項を満たしている状態。
(48)経営資源
人・物・財のことをいう。
(49)要 員
の品質に影響がある仕事に従事する人的資源、校正技術者をいう。
(50)方 針
あることに対するガイド・考え方。
(51)手 順
方針についての具体的な流れ。
(52)管理責任者
当社の品質マネジメントシステムとその実施に責任があり、この役割において社長に直接報告する人をいう。
(53)トップマネジメント
社長をいう。
(54)コミュニケーション
IATF16949システムに関係する人とのコミュニケーションをとること。
(55)プロセス
仕事はいくつかの項目や要素から成り立っており、その一つ一つを「プロセス」と考える。
(56)有効性
計画した活動が実行され、計画した結果が達成された程度。
(57)文書化
情報を保持する媒体にすること。
(58)品質方針
社長によって正式に表明された品質に関する当社の全体的な意図及び方向付け。
(59)品質目標
品質に関して追求し目指すもの。
(60)マネジメントレビュー
品質方針及び目標に関連する品質マネジメントの適切性・妥当性・有効性及び効率性
に対する社長による正式な系統的評価。
(61)コミットメント
社長が品質マネジメントシステムの計画・実施・改善に積極的に関与していること
並びにその状態のこと。
(62)要求事項
明示されている・通常暗黙のうちに了解されている若しくは、義務として要求されて
いるニーズまたは期待。
(63)文 書
情報及びそれを保存する媒体。
(64)苦 情
顧客又はその他の利害関係者から受けた不満足の表明。
(65)不適合
要求事項を満たしていないこと。
(66)是正処置
検出された不適合またはその他の検出された望ましくない状況の原因を除去するための
処置。
(67)予防処置
起こり得る不適合またはその他の望ましくない起こり得る状況の原因を除去するための
処置。
(68)記 録
達成した結果を記述した、または実施した活動の証拠を提供する文書。
(69)校正証明書
校正の結果及び校正に関係するその他の情報を記録したもの。
(70)内部監査
監査基準が満たされている程度を判定するために監査証拠を収集し,それを客観的に評価
するための体系的で独立し文書化したプロセス。
(71)監査の所見
収集された監査証拠を監査基準に対して評価した結果。
(72)顧客からのフィードバック
顧客からの苦情や情報など顧客からサービスに関する意見など。
(73)教育訓練のニーズ
事業の維持管理、又は技術の向上を求めるもの。
(74)統計的手法
監視・測定・分析・改善のプロセスのために用いる手法であり、変動を分析すること
により校正センターが問題を解決し有効性と効率を改善するために役立てるものである。
(75)妥当性確認
客観的証拠を提示することによって妥当性を確認すること。
(76)施 設
当社の施設をいう。
(77)設 備
施設・機器以外の設備。
(78)測 定
ある量に合理的に結び付けることが可能な一つ以上の量の値を実験的に得るプロセス。
(79)改善の機会
不適合ではないが、システム改善のために何らかの対応が望ましいもの。